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プ−リア州 |
イタリア半島をブーツの形にたとえるなら、プーリアはちょうどそのかかとである。ここは古代ローマ時代にはギリシアへの通路に当たっていたところで、ローマから南に下るアッピア街道の終点であったブリンディジ(Brindisi)には当時の記念として19mの塔が建てられている。州都バーリ(Bari)はナポリ、パレルモと共に南イタリアの文化に中心であり、11世紀ロマネスク様式の聖ニコラ寺院はそのシンボルである。ブリンディジの南方にあるレッチェ(Lecce)にもバロック風の聖クローチェ寺院など立派な寺院があり、そのせいか「寺院のプーリア」などと言われている。西海岸のタラント(Taranto)は 古くからの海軍基地であり、近くには得意な円形をした石造りの民家で観光名所になっているアルベロベッロ(Alberobello)がある。プーリアの特産物のひとつはタバコで、それにオリーブとワインが加わると、これらの産物からこの地方の風土を想像することが出来る。 州はバーリ県など5県からなり、州の北から南にかけて全域でワインを産出する。最近の生産量は70万klとイタリア全州中2位になることが多い。赤ワインの方が5割方多く、また、その98%がV.d.T.としては赤ワインのルーヴォ、トラーニ(Trani)、コンヴェルサーノ(Conversano)、コルテッラーナ(Cortellana)、ロゼ・ワインのロザート・デル・サレント(Rosato del Salento)、コンヴェルサーノ、白ワインのコルテッラーナなどがある。 プーリアのワイン造りは歴史が古く、フェニキア人たちの植民地であった頃に始まる。その頃からバルレッタはワインの輸出港として知られている。今日のプーリアでは、バーリにある農林省の葡萄研究所やバルレッタにある醸造試験場の指導のもとに、ネーグロ・アマーロ、ウーヴァ・ディ・トロイアなどの古代からの葡萄から新しい品種への移行が試みられている。炎熱の太陽に乾燥する大地を潤すための灌漑が普及し、葡萄栽培もアルベレッロ(Alberello)型の栽培からテンドーネ(Tendone)型へと、醸造も低温発酵へと時代と共に推移している。