イタリア
イタリアはフランスと並ぶワイン大国で、生産量は世界第1位、輸出量と国民一人当たりの消費量はフランスに次いで第2位となっています。ワイン造りの歴史は古く、紀元前2000年頃から行われていたと伝えられています。ギリシア人がもたらしたワイン造りは、古代ローマ時代にはイタリア全土に普及し、あこがれを込めて「エノ・トーリア(ワインの地)」と呼ばれていました。 気候は、アルプス産脈が北風を防ぎ、全土が地中海性気候の恩恵を受けて温暖です。また土壌も葡萄栽培に適しています。南北に細長い半島のため気候や土壌に微妙な違いがあり、バラエティに富んだ葡萄品種から多様なワインが生まれます。 イタリアにおけるワインの消費は、1970年代には年間一人当たり110Lでした。それが現在では半分以下の52Lにまで下がっています。イタリアのワインの歴史上これほど短期間に大きな変化が起こったことはなく、その理由として食事のライト化があげられます。食事が淡泊になったのに伴い、ワインも赤ワインから白ワインへと変化し、更に白ワインからビールへ、そしてソフトドリンクやミネラルウオーターに大きくシフトしました。量が減った分、質的に高いワインが求められるようになり、生産者もよりクオリティーの高いワインを造ることに力を注いでいます。
【イタリアの代表的葡萄品種】
白ワイン用葡萄品種
●トレッビアーノ
イタリア中部での需要葡萄品種で、イタリア全土で100,000ha栽培されています。オルヴィエート、キャンティ、ソアーヴェなどに用いており、軽くて爽やかな白ワインとなります。多くの場合、他の品種とブレンドして使われます。
●マルヴァージア(Malvasia)
イタリア全土で、辛口から甘口まで、また発泡性、非発泡性と様々なタイプのワインを生みます。名前はギリシアの都市名から付けられています。北のものはやや軽く、南のものはやや強い傾向があります。基本的に早く飲むタイプのワインとなります。
●モスカート(Moscato)
イタリア全土で栽培されている品種で、麦藁色で甘いマスカットの香りの強いワインが造られ、しばしばスパークリングワインや酒精強化ワインに仕立てられます。アスティ(スプマンテ)が特に有名です。
●コルテーゼ(Cortese)
繊細で心地よい香りの辛口ワインになります。良質ワインを産出するピエモンテ州で、代表的ながーヴィを造ります。オルトレポ・パヴェーゼ、コッリ・トルトネージなどにも用います。
●ガルガネーガ(Garganega)
トレッビアーノに次いでイタリアで広く栽培されている葡萄で、ソアーヴェの主要な品種です。軽く繊細なワインを生みます。
●グレーコ(Greco)
フレーヴァーのある伝統的な葡萄品種。イタリア中部や南部で良いワインとなります。グレーコ・ディ・トゥーフォが代表的です。
●ピノ・グリージョ(Pinot Grigio)
ピノ・グリ、ルーレンダーとも。産の穏やかな風味のある白ワインを生みます。主に単独で用いられますが、ブレンドしてスプマンテにもなります。アルト・アディジェ、コッリオで最上のものになります。
●ヴェルナッチャ(Vernaccia)
フレッシュでボディと上品さがあり、繊細な香りがあります。トスカーナやサルデーニャで最上のワインとなり、13世紀の頃には今よりも熟成させるワインとして記憶されています。

赤ワイン用葡萄品種
●ネッビオーロ(Nebbiolo)
イタリアで最も良質の赤ワインをピエモンテで産む葡萄品種。バローロやバルバレスコに使われ、若い内はタンニンが多く、熟成して香り高く繊細な味わいを醸し出します。名前は「霧(ネッビア)」に由来します。
●バルベーラ(Barbera)
サンジョヴェーゼに次いでイタリアで2番目に生産量の多い品種。単独で用いられ、若い内から楽しめ、熟成してバランスのとれたワインになります。色濃く、軽い酸味があります。
●サンジョベーゼ(Sangiovese)
イタリアで最も広く栽培されている赤ワイン用品種。キャンティの主要な品種。単独で用いられて飲み口の良いワインも産みます。また、サンジョヴェーゼ・グロッソは、ブルネッロと呼ばれ香り高くコクがある大変寿命の長いワインになります。
●カナイオーロ(Canaiolo)
キャンティでサンジョヴェーゼと共に用いられます。中央イタリアでブレンド用として使われます。
【ワイン法】
イタリアでは優良ワインを保護するため1924年に最初の法律が制定しました。更に1937年には、ワイン法の不備が明らかになり見直し改正されました。1963年には、政府によって本格的なワイン保護法「ワイン用葡萄果汁とワインの原産地呼称保護のための規則」が制定され、大統領令で交付されました。
●ヴィーノ・ダ・ターヴォラ(Vino da Tavola)
「テーブルワイン」。D.O.C.、D.O.C.G.以外のワイン。イタリア国内で生産された葡萄を使用しなければならない。
●インディカツィオーネ・ジェオグラフィカ・ティピカ(Indicazione Geografica Tipica)
「原産地地理的表示付きテーブルワイン」。85%以上の葡萄がその産地のものであることが必要。更に85%以上がその品種であれば品種も併記出来る。指定された地域で、指定された葡萄品種を用いて造られたワイン。フランスのヴァン・ド・ペイ、ラント・ヴァインに相当する。(97現在123地区)通称、I.G.T(イ・ジ・ティ)。
●デノミナツィオーネ・ディ・オリジネ・コントロッラータ(Denominazione di Origine Cotrollata)
「統制原産地呼称」。270余りの銘柄がある。葡萄品種、栽培法、収穫量、醸造法、熟成期間、ワインの特性、表示法などに規制がある。
●デノミナツィオーネ・ディ・オリジネ・コントロッラータ・エ・ガランティータ(Denominazione di Origine Cotrollata e Garantita)
「統制保証原産地呼称」。特に高品質として政府が保証した地域のワイン。瓶の首に政府  の検査シールが貼られる。通称、D.O.C.G.(ドック・ジ)。
【D.O.C.G.の18銘柄】
1.バローロ(Barolo)
   ピエモンテ州 赤
2.バルバレスコ(Barbaresco)
   ピエモンテ州 赤
3.ガッティナーラ(Gattinara)
   ピエモンテ州 赤
4.アルバーナ・ディ・ロマーニャ(Albana di Romagna)
   エミリア・ロマーニャ州 白
5.ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ(Brunello di Montalcino)
   トスカーナ州 赤
6.カルミニャーノ(Catmignano)
   トスカーナ州 赤
7.キャンティ(Chianti)
   トスカーナ州 赤
8.ヴィーノ・ノビレ・ディ・モンテプルチアーノ(Vino Nobile di Montepulciano)
   トスカーナ州 赤
9.トルジャーノ(Torgiano)
   ウンブリア州 赤
10.サグランティーノ・ディ・モンテファルコ(Sagrantino di Montefalco)
   ウンブリア州 赤
11.タウラジ(Taurasi)
   カンパーンニャ州 赤
12.アスティ(Asti)〔アスティ・スプマンテ、モスカート・ダスティ共〕
   ピエモンテ州 白
13.ヴェルナッチャ・ディ・サンジミニャーノ(Vernaccia di San Gimignano)
   トスカーナ州 白
14.フランチャコルタ(Franciacorta)
   ロンバルディーア州 スプマンテ
15.ブラケット・ダックイ(Brachetto d'Acqui)
   ピエモンテ州 赤
16.ヴェルメンティーノ・ディ・ガッルーラ(Vermentino di Gallura)
   サルデーニャ州 白
17.キャンティ・クラシコ(Chianti Classico)
   トスカーナ州 赤
18.ゲンメ(Ghemme)
   ピエモンテ州 赤
*以上はワイン法上の規定で、ヴィーノ・ダ・ターヴォラよりD.O.C.が、D.O.C.よりもD.O.C.G.の方が格が上ということになりますが、実際には品質・価格共にD.O.C.G.に勝るヴィーノ・ダ・ターヴォラもあります。意欲的な醸造元が束縛を嫌がって個性的なワイン造りをするために、このようなことが見られます。この場合、生産者が誰であるかが重要です。
【イタリアワイン用語】
●クラッシコ(Classico)
指定地域内に古くからある畑から産するワイン。
●スペリオーレ(Superiore)
アルコール度数が最低アルコール度数を超え、規定に達したもの。(ワインによって異なる)
●リゼルヴァ(Riserva)
その地域で、アルコール度数、熟成期間を超えたワイン。(ワインによって異なる)
●パッシート(Passito)
収穫した葡萄を陰干しにして糖度を高めてから醸造したワイン。一般的に甘口である。
●レチョート(Recioto)
パッシートと同様。ヴェネト州のソアーヴェヤヴァルポリッチェッラに使用する。ヴェネト州のみ。
●ノヴェッロ(Novello)
イタリアにおける新酒のこと。フランスより10日ほど早い11月6日解禁。
●ヴィーノ・サント(Vino Santo)
「わらワイン」。数ヶ月わらの上で陰干ししてから造ったワイン。
●ヴェッキオ(Vecchio)
古い。熟成してまろやかになったもの。
●セッコ(Secco)
辛口。 残糖0〜4g/1
●アッボッカート>(Abbaccato)
やや甘口。残糖4〜12g/1
●アマビーレ(Amabile)
中甘口。残糖12〜45g/1未満
●ドルチェ(Dolce)
甘口。残糖45g/1以上
●カッネッリーノ(Cannellino)
甘口。残糖45g/1以上
●アンナータ(Annata)
収穫年。
●ヴェンデンミア(Vendemmia)
収穫年。
●エチケッタ(Etichetta)
ラベル。
●カンティーナ(Cantina)
酒造、酒造所、小売り酒屋。
●カンティーナ・ソチャーレ(Cantina Sociale)
ワイン協同組合。
●コンソルツィオ(Consorzio)
品質保護協会、葡萄栽培者の法的地方組織。
●インボットティリャート・ダ・〜(Inbottigliato da 〜)
瓶詰者〜。
●プロプリエタリオ(Proprietario)
自家畑所有醸造所
●ヴィティコルトーレ (Viticoltore)
栽培者
【ワインの名称】
(1)地名、町名、地域名等から
例:オルヴィエート(Orvieto)、キャンティ(Chianti)
(2)葡萄品種+生産地名
例:ヴェルナッチャ・ディ・サン・ジミニャーノ(Vernaccia di San Gimignano)
(3)色別+生産地名
例:ビアンコ・ディ・クストーツァ(Bianco di Custoza-白)
(4)伝説等から
例:エスト!エスト!!エスト!!!(Est!Est!!Est!!!ある!ある!!ある!!!)