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オーストラリア |
【歴史】
オーストラリアの葡萄栽培の歴史は1788年に、イギリス人アーサー・フィリップ船長率いる11隻の商船がシドニー港に入り、港のそばに葡萄のさし木をしたのが、その始まりと言われている。
この葡萄は、リオデジャネイロと喜望峰から持ってきたもので、葡萄の栽培はその後、シドニー北西のハンター・ヴァレーに広がり、更に西部や南部へも拡張されて南オーストラリアまでのびていった。
現在の主要な生産地は約30地区。主に南緯30度以南の地域におよそ7万haの葡萄畑が広がっており、その殆どが南オーストラリア州、ニュー・サウス・ウエールズ州、ヴィクトリア州の3州に集中している。この3州でオーストラリア全土の生産量の9割以上を造っているが、生産量は少ないながら、西オーストラリア州やタスマニア島にも注目の産地がある。
南半球に位置するオーストラリアは、葡萄の収穫期が2月頃から5月頃まで。葡萄栽培に適した土壌が広大な地域に広がり、気候や日照、降雨量などの条件も葡萄栽培に適している。いわば毎年がヴィンテージ・イヤーと呼んでいいほどに、良質の葡萄が出来る。ワインの品質も安定している。
この国のワインは、ジェネリック・ワインとヴァラエタル・ワインの2種類に大別される。前者は廉価な大衆的なワインで、2〜6L入りの紙箱に入ったものや、1〜2Lの瓶入りも多く出回っている。後者は、カベルネ・ソーヴィニヨン、ピノ・ノワール、シャルドネ、ソーヴィニヨン・ブランなど、ワインの原料となる葡萄の品種名を冠した高級ワインである。こうした高級ワインは単一の葡萄品種で醸造されることもあるが、カベルネ・ソーヴィニヨン/メルロー、セミヨン/シャルドネなど、数種の葡萄が混醸されることも多い。
また、スティル・ワインとシェリーやポートタイプなどのフォーティファイド・ワインの生産比は、’70年代半ば頃までは約7体3の割合であったものが’80年代半ばには15体1と変化し、スティル・ワインの占める割合が圧倒的に大きくなっている。
オーストラリアワインの年間生産量は約60万kl。世界80カ国以上に輸出されており、太陽の恵みを存分に受けた芳醇でフレッシュなワインとして、各地で人気を博している。
●ニュー・サウス・ウエールズ州
アッパーハンター
ハンターヴァレー
マッジー
リヴェリナ
●ヴィクトリア州
ヴィクトリア北東部
グールバン・ヴァレー
ヤラ・ヴァレー
ヴィクトリア中央部
ギーロング
ヴィクトリア西部
ヴィクトリア西北部
●サウス・オーストラリア州
リバーランド
クレア・ヴァレー
バロッサ・ヴァレー
サザアン・ウエールズ
クナワラ
●西オーストラリア州
スワン・ヴァレー
マーガレットリバー
フランクランド・マウント・バーガー
【主な葡萄品種】
【白ワイン用葡萄品種】
●ライン・リースリング
ドイツの白ワイン用葡萄の代表品種で冷涼地に強い品種。南オーストラリアの高地の主力品種で、爽やかな果実酸味 とさっぱりした切れ味のよいワインが造られています。
●セミヨン
フランス・ボルドーのソーテルヌ、バルザック、グラーヴ地区の主力品種で天然甘味の貴腐ワインとして有名ですが、オーストラリアでは、軽いアカシヤ香のする、まろやかな、やや辛口のワインが造られています。
●シャルドネ
フランスのブルゴーニュのシャブリや、シャンパーニュのシャンパンの主力原料品種として有名な葡萄。オーストラリアでは多量に生産されるようになったのは比較的新しく、1974年以後ですが、オーストラリアでも高級辛口ワイン用として主に使われています。腰もあり、ボディも豊で、酸のバランスもいい、コクのあるワインが生まれています。
●トラミネール
ドイツ系の品種。オーストラリアものは、どちらかというとゲヴュルツトラミネールに近く、スパイシーな香味が強く、フルーティ感覚のワインが造られています。
●スルーシェン
リースリングに似た品種で、辛口白ワインのブレンドに主に用いられています。
【赤ワイン用品種】
●カベルネ・ソーヴィニヨン
オーストラリアの最高の赤ワイン用として最も人気のある商品。フランス・ボルドーの主要品種で、オーストラリア最初の移民が持ち込んだのが、当時英国でクラレット と言う名で呼ばれていた赤のこの品種です。芳醇なラズベリーのような香りに、タンニン分と酸味があり、この品種の特長を生かしたいいワインが造られています。
●シラーズ(ハーミテイジ)
この葡萄も、カベルネ・ソーヴィニヨンと並んで、オーストラリア赤ワインの主要な品種。コクのあるものから、軽いソフトなものまで、色々なタイプのものが造られていて、他の赤とブレンドして軽いすっきりした飲み口のワインもあります。オーストラリア・ハミテージと呼ばれるものは、このシラーズのことです。
●ピノ・ノワール
フランス・ブルゴーニュの赤ワイン用代表品種。オーストラリアでは、最近注目されてきた品種で、1979年の国際ワインコンクールで優勝しました。若いうちはフルーティな香り、熟成するとアロマティックなアロマティックな香りがします。